大国に挟まれ北朝鮮と隣合わせの韓国経済の将来は_アイキャッチ

大国に挟まれ北朝鮮と隣合わせの韓国経済の将来は


長年の軍事独裁政権による圧政や90年代のアジア通貨危機・金融危機による債務不履行(デフォルト)危機など、数々の経済的危機を乗り越えてきたのが隣国の韓国です。しかし00年代の世界金融危機以降、しぶとく復活し続けていた韓国経済の最近の動きはパッとしません。韓国経済の先行きはどうなるのでしょうか。今回は、韓国経済のこれまでとこれからを見てみましょう。

韓国経済のこれまでと現在の概略

韓国経済の将来について見てみる前に、これまでの韓国経済がたどってきた流れについて大まかに振りかえって見ましょう。韓国の経済は、朝鮮戦争以降大きく立ち後れていたが、軍事政権による開発独裁と外資導入に成功したことで1962年から1994年にかけて年20%の割合で輸出が伸長し、GDPが年平均で10%成長を記録する「漢江の奇跡」を成し遂げます。「漢江の奇跡」により新興工業経済地域 (NIEs) の1つとして数えられる時期を経た韓国は、1996年になると日本に次いでアジアで2番目のOECD(経済協力開発機構)加盟国となり、新興国の中でも堅調な成長から注目されるようになりました。
このようにファンダメンタルズは健全な状態であったものの、金融部門が多額の不良債権を抱えていたことから1997年のアジア通貨危機・金融危機により国債格付けが下落。債務不履行(デフォルト)寸前まで追いこまれた韓国は国際通貨基金(IMF)の管理下に入るとともに諸外国からの資金援助に頼ることとなりました。IMFの管理下に入ったことで、金融部門の再編や財閥解体などの構造改革に大鉈が振るわれて韓国経済は命脈を保つこととなります。しかし外資企業の大量流入や財閥解体後も一部企業による市場の寡占体制が維持されるなど、構造改革の内容は不徹底なものであり、現在に繋がる様々な問題を生むきっかけともなりました。
現在の韓国の主要産業としては情報通信産業や重工業が中心であり、通貨安政策による輸出競争力により、2014年時点のGDPは世界で13番目となり、新興国の中では比較的経済規模の大きい国として知られています。

韓国経済の抱えるリスクはなにか

このように一見好調に見える韓国経済ですが、様々なトラブルやリスクを抱えています。韓国経済のリスクとしてもっとも知られているのが、市場の寡占化と外資導入です。市場の寡占が進んだ結果、企業は国内では海外よりも高値で販売して利益を上げる大手輸出企業は外国人株主が半数を占めることになり、特に再編が進んだ銀行は外国人株主の比率が7割から8割と極めて高く、中には100%外資という銀行も存在します。大手輸出企業は人件費を切り下げることで競争力を高めて利益をあげることで税制優遇措置を受けながら、社会保障の支出は対GDP比7.7%と、OECD加盟国中最下位であるなど、従業員や消費者よりも株主を優遇する構造が温存されていることが問題視されています。
このような外資参入と市場の寡占により、それまで50%から60%と比較的安定していた韓国の輸出依存率は世界金融危機を境として大きく跳ね上がり、現在では96%とほぼ外需に依存する経済構造であることから、世界経済の影響に極めて敏感であることも大きなリスク要因とされています。外需依存に依存した経済構造であるため輸出製品は価格競争力と技術が要求されます。
しかし価格競争力では中国に追い上げられ、技術では日本に追いつけず、日本と中国に挟まれている韓国は衰退する一方だとする「日中サンドイッチ論」と呼ばれるジレンマに陥っています。輸出競争力を確保するための通貨安政策を積極的に進めていますが、通貨安から円キャリー取引の対象となり、外国資本の流入による資産バブルが懸念されるなど金融部門でも依然として通貨危機以前の脆弱な部分が色濃く残っています。

分断状態の北朝鮮をはじめとする周辺国との関係

このように経済面に限っても様々なリスクが存在する韓国ですが、より大きな視点で見ると隣国である日本との関係悪化や分断状態にある北朝鮮との緊張関係、東アジアで急激に存在感を高めている中国との関係見直しなど、政治的にも様々なリスクが存在します。特に北朝鮮との関係は金正恩(キム・ジョンウン)体制になると同時に急激に悪化しています。軍事境界線(DMZ)近辺での小規模な衝突の急増や度重なるミサイル発射実験など、韓国だけではなく日本やアメリカなど周辺国に対しても影響を与えるなど、韓国に関するもっとも大きなリスクといっても過言ではないでしょう。

おわりに

日本と中国という経済規模の大きな国に挟まれ、分断状態にある北朝鮮との問題という難問を抱える韓国ですが、その中でも経済成長を模索しています。その先行きが明るいものとは言いがたいものの、注目に値する国家と言えるでしょう。

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地政学的リスクと経済

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