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ウクライナ情勢は誰にとってのリスクとなりうるか


ウクライナ危機として知られるウクライナ地方とクリミアの間で発生している武力衝突は、全体像がつかみにくく、どのようなリスクが生じているのか分かりにくい状態が続いています。そこで今回は、現在も熾烈な戦闘が続くウクライナ危機に至る大まかな流れと、ウクライナ危機が招くリスクについて見てみましょう。

ウクライナ騒乱(クリミア危機)からクリミア併合に至るまでの流れ

ウクライナ騒乱のきっかけとなったのが、2014年2月に発生した反体制派の市民と警察の間のデモから発生した武力衝突です。数日間で13人の警察官を含む少なくとも82人が死亡し、1,100人以上が負傷したこの武力衝突は、政権交代と2004年の憲法復活を求める群衆とその鎮圧をおこなった警察部隊の衝突でした。この武力衝突によってヤヌコーヴィチ大統領はウクライナ国外へ脱出し、翌日に最高会議の与野党全会派の信任により、オレクサンドル・トゥルチノフ氏が大統領代行に就任、親欧米の暫定政権が発足しました。これに対してクリミアの一部住人が抗議して暫定政権と衝突。ヤヌコーヴィチ政権の崩壊を受けてウクライナに進出していたロシア軍部隊がクリミア自治共和国最高会議(議会)を制圧します。議会制圧時の詳細が明かされないまま、クリミア自治共和国は「クリミア共和国」になるとの宣言が採択されたと発表されます。この宣言にしたがってウクライナ法に反してアクショーノフ政権が発足したことが発表されました。
クリミア共和国議会とセヴァストポリ市議会はロシアへの編入を問う住民投票を3月16日におこなうことを決定。投票5日前の3月11日にはクリミアとセヴァストポリはウクライナからの独立宣言と、住民投票でロシア編入が賛成多数となれば即時に独立、ロシアへの編入を求めるとの内容を決議しました。予告通り16日におこなわれた住民投票では、クリミアとセヴァストポリの両方で9割以上の賛成票が投じられたと発表しました。
しかしのちの調査では、実際の投票率は30-50%であり、そのうちクリミアのロシア編入に賛成したのは50-60%であったと発表されています。

国際社会がこの住民投票の結果を認めないこととロシアに対する非難や制裁を次々と発表する中、3月17日に両者はウクライナからの独立と、ロシアに編入を求める決議を採択しました。この一連の出来事に対して日本・韓国を含む欧米諸国は、一連のロシアの動きは「国際法違反の侵略行為であり、ウクライナからのクリミアの独立とロシアへの編入は向こうである」としてロシアに対して政治・経済の両面から様々な圧力を加えています。

ウクライナ問題はどのようなリスクをはらんでいるのか

このようにロシアによるクリミア独立と編入は、どのようなリスクをはらんでいるのでしょうか。また、暫定政権と分離独立派の武装勢力(反暫定政権派)の間で武力衝突が発生し、反暫定政権派が州庁舎や警察機関などを掌握したことから、暫定政権側が分離独立派武装勢力をテロリストと見なして軍事行動をともなう「反テロ作戦」を開始。反暫定政権派も軍事力を使って、ロシアから流入したと見なされている兵器を用いて暫定政権の軍用機を撃墜するなど事実上の戦争状態となっています。
この武力衝突はロシア – ウクライナ地域の政情不安を招き、2014年7月にはマレーシア航空機がウクライナ・ドネツク郊外で撃墜される事件(マレーシア航空17便撃墜事件)が発生しました。この撃墜事件は半暫定政権派がマレーシア航空航空機を暫定政府軍の輸送機と誤認して撃墜したとする意見が有力ですが、現在でも真相究明には至っていません。このようにウクライナ危機は東欧地域の政情不安に留まらずグローバル社会へのリスクともなり、アメリカを中心とする欧米諸国はロシアに対して即時停戦を求めるとともに、G8サミット参加国からの除名や経済制裁の実施などで圧力を強め、ロシアとの対立が深まっています。

おわりに

資源高による好調な経済を背景として「強いロシア」を掲げるプーチン大統領ですが、その強硬な姿勢には一部を除いて世界の国々の反発が強く、経済制裁の対象になるなど、様々な制約を抱えています。日本とロシアは国境を接して北方領土問題を抱えているため、その次の矛先がどちらを向くのかには神経を尖らせる必要がありそうです。

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地政学的リスクと経済

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